「人月の神話」読了

なんとなくネットとかで内容は聞きかじっていたんだけどきちんと読んだことが無いので読んでみた。


この本は新装版で元々の「人月の神話」 + 第16章 + 第17章〜第19章となっている。
第16章は論文「銀の弾などない」。
第17章〜第19章は新たな書き下ろしで、元々の「人月の神話」のその後といった内容。「人月の神話」に書いていた内容を再考して現在でも通用する部分や作者が間違っていたとする内容となっている。


時代がかなり古いので今になってはツッコミどころもあったりするけど、基本的に今でも通用する話なのはやっぱり名著だけある。
文章が読みづらい部分もあるけど、ネットで検索したら内容を纏めているサイトはたくさんあるので、一度読めばそういったサイトを利用するのがおすすめ。


ざっとググった所以下がおすすめ
http://ja.wikipedia.org/wiki/人月の神話
http://hondou.homedns.org/pukiwiki/pukiwiki.php?Books%20%BF%CD%B7%EE%A4%CE%BF%C0%CF%C3


良い点として、この手の本はたくさんあるけど、例えばグループ内のコミュニケーション量がn(n − 1)/2と公式になっている。
こういったプログラマが何となく感じている部分を文書化し、さらに公式化をしているのがすごい。
しかも実際の経験に基づいた説得力のある文章。
新たな書き下ろしの部分があるのもいい。
この手の本って一度出版されるとそれまでで、typoとかの修正とかはあっても内容その物の真偽をどうこう言う本(とくに著者が)ってのは自分の記憶には無い。
この点ではWebは本よりも優れていると思う。後で追加の意見とかが言えるから。


悪い点は文章が読み辛く、本の構成が自分好みではない点。
たとえば第16章〜第19章は元々の「人月の神話」には無いとこの本を読んだだけでは分かりにくい点。
ほかには聖書のように文章がページの上下の2つにわかれている部分。この書き方は個人的はあまり好きじゃない。


文章が読み辛いのは翻訳も多分に関係があるかも知れないが(おそらく)原文も古くさい言葉を使っている点に有ると思う。
例えば第16章の論文「銀の弾などない」で偶有的(ルビでアクシデンタルと書かれている)といった言葉が出てくる。
第17章でこの言葉はアリストテレスまで遡る古い用法で、偶有的と言う用語は偶然発生した災難とかの意味ではなく、むしろ副次的とか付属のという意味で使っていた、とあるがこんなの普通の人には分からない。
そりゃアリストテレスの時代の用法も教養だとか言われたらそれまでだけど、自分のようなひねくれた人間でも常識的に考えてむちゃでしょとしか言いようがない。
せっかくの新装版として出すのならば、古い文章にはコメントを付けて別の章を参照させるようにするとか色々方法はあるでしょうに。


ほかにもツッコミどころはあるけど、それでも名著だなと感じた本です。
また機会が読み直しが必要かも。


人月の神話―狼人間を撃つ銀の弾はない (Professional computing series (別巻3))

人月の神話―狼人間を撃つ銀の弾はない (Professional computing series (別巻3))